- 各種調査事業の実施
- 計画策定事業の実施
- 事業成果の分析検討の実施
- フォローアップ調査事業の実施
- 事業実施報告書の作成・配布
- 広報誌の作成・配布
1.各種調査事業の実施
1-1 事業主意識調査・労働時間実態調査
実施時期
平成21年6月
調査対象
組合員 30社
調査方法
郵送による配布、FAX回収
【調査結果】
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経営状況
- 悪くなったが過去最悪とまではいえない
現在の経営状況は「悪くなったが過去最悪とまではいえない」が45.8%であるが、「未だかつてないほど悪くなった」も33.3%である。
経済情勢の変動に伴い取った対応は「残業規制(30.8%)」「ボーナスの切り下げ(23.1%)」が多いが、「特にしていない」も30.8%である。 - 正社員の従業員数は変わっていない
正社員の従業員数の変動はあまりないが(44.0%)、「増加した(20.0%)」よりは「減少した(36.0%)」が多い。
正社員の従業員数は適正である(61.5%)が、「やや過剰である(30.8%)」も見られる。
- 悪くなったが過去最悪とまではいえない
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採用
- 採用計画はなかった
今年の新規学卒者の採用計画はなかった会社が64.0%で、「ほぼ計画通り採用できた」のは28.0%である。
採用した会社では3.4人採用しており、「義務教育、高校卒」が1.6人である。 - 来年も採用計画はない
来年も採用計画はない会社が半数である(50.0%)。
- 採用計画はなかった
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中小企業緊急雇用安定助成金制度には興味がある
中小企業緊急雇用安定助成金制度は、「詳しくは知らないが概要は知っている」が57.7%で最も多い。「活用する予定はない」が40.0%であるが、「内容について知りたい(32.0%)」「既に活用している(20.0%)」「活用したい(8.0%)」の6割が興味を示している。 -
労働時間
年間所定休日日数は「100〜109日」が最も多く46.2%で、週の所定労働時間は「40時間台」が46.2%である。
週休制は「完全週休2日制」が36.0%で最も多く、「月2回週休2日制(4週6休)」が32.0%で続く。 -
変形労働時間制が多い
労働時間制度を職種別に見ても、「変形労働時間制」が最も多い。「印刷工程」「製本・加工工程」「製版工程」は「交替制・シフト制」、「営業部門」は「事業場外のみなし労働時間制」、「企画・デザイン部門」は「専門業務型裁量労働制」、「経営企画部門」は「企画業務型裁量労働制」が見られる。
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有給休暇と時間外労働
有給休暇の付与日数は「19〜20日」が最も多く30.4%で、取得日数は「4〜5日」である(26.1%)。所得率は、「50〜59%」が30.4%である。
残業時間(月平均)は「4時間以下(33.3%)」が最も多く、「25時間以上(20.8%)」が続く。休日出勤日数(月平均)は「0日」が最も多い(37.5%)。 -
休業制度の利用率は低い
過去3年間に育児休暇を利用した正社員は「いない(64.0%)」が多いが、「いる(36.0%)」会社の平均は2.1人である。
過去3年間に介護休暇を利用した正社員は「いない(87.5%)」が多いが、「いる(12.5%)」会社の平均は1.3人である。 -
裁判員制度
裁判員制度に任命された人は、「いない(76.0%)」と「わからない(24.0%)」で、「いる」は0.0%である。
選任された社員の休暇の取り扱いは「まだ決めていない」が半数である(47.8%)。
【アンケート調査結果からみた雇用管理の課題】
- 新規学卒者の採用
- 中小企業緊急雇用安定助成金制度の活用
- 所定労働時間に関する就業規則の整備
- 来年4月からの労働基準法の改正への対応
- 育児・介護休業制度の利用促進
- 裁判員制度への対応
今年4月の新規学卒者の採用については、36%の企業で計画があったものの、実際に計画通り採用した企業は28.0%にとどまっている。来春については既に採用を決めている企業は15%であり、景気動向等を鑑み、今後決めるとしている企業が35%となっている。
一方で、42%の企業が過去最悪の経営状況と回答したことからもわかるように、生産調整の急激さ、かつ、その深度は未だかつてない厳しい状況下にあって、経営体力の乏しい企業にとっては、正社員の雇用を維持するのが精一杯な状況にあることは否めない。将来の企業を支える若年労働者、とりわけ優秀な新卒社員を採用したいのは企業経営者としてはやまやまであろうが、実際、仕事がなく休業せざるを得ない状況をみると、残念ながら新卒採用を行えるような状況とはいえない企業が多い。
しかしながら、景気拡大期に思うように人材を確保できなかった企業にとっては、世界同時不況で多くの企業が採用抑制に転じているのを、優秀な人材の採用の好機とみることもできる。こうした企業にとっては、昨年度本事業において実施した「業界イメージ調査」結果を踏まえ、また、同じく昨年度作成した「採用活動改善好事例集」参考としながら、新規学卒者の採用に当たるよう推進する。
中小企業緊急雇用安定助成金制度とは、景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた中小企業事業主が、その雇用する労働者を一時的に休業等(休業及び教育訓練)又は出向をさせた場合に、休業、教育訓練又は出向に係る手当若しくは賃金等の一部を助成するものである。既に20%の企業で中小企業緊急雇用安定助成金制度を活用しているが、このほか、40%の企業が中小企業緊急雇用安定助成金制度について興味を示していることからも(「内容について知りたい(32.0%)」、「活用したい(8.0%)」)、早急に、本事業における「職場相談事業」等を活用し、希望する企業に対して社会保険労務士による中小企業緊急雇用安定助成金制度の説明、相談をあっせんする。
この間、当組合では労働時間短縮に積極的に取り組んできたが、未だに週所定労働時間40時間超と回答する企業が15%を占めている。こうした企業では年間カレンダー方式の1年単位の変形労働時間制を活用していることからこうした回答になっているものと思われるが、実態は適法であっても、こうした記述になると違法と勘違いされてしまうこともある。昨年度本事業において作成した「就業規則マニュアル」を活用して、今一度、変形労働時間制のしくみと就業規則を確認することとともに、必要に応じて本事業における「職場相談事業」等を活用し、実態に即した規程にしていく。
1企業当たりの1か月平均所定外労働時間は15時間25分となっており、それほど長いわけではない。ただし、企業別に見ると最も長い企業で67時間と突出しており、まずは健康管理上、45時間以内に削減することを推進していく。
一方、労働基準法が改正され、来年4月より、大企業(資本金3億円超または従業員301人以上)においては月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が、「25%以上」から「50%以上」に引き上げられる(60時間までは現行の割増賃金率が維持される)ことになる。当組合においてこの改正の対象となる企業は少ないが、対象となる企業については今のうちから準備をしておくよう推進する。
併せて、4月からは、労使協定を締結すれば、年次有給休暇が年に5日分を限度として時間単位で取得できるようになる。これについては企業規模に関係ないので、各種委員会の席において会員企業に対して喚起を促す。
「仕事と生活の調和」を目指し、仕事と子育てが両立できる環境を整備するために、女性のみならず男性の育児参画への取り組みに積極的に取り組むことが求められる。そのための第一歩として育児・介護休業法に基づく育児・介護休業制度の定着が求められる。これに関しては、昨年度本事業において作成した「就業規則マニュアル」を活用して法律の内容を再チェックするとともに、制度の構築だけではなく、制度の定着に向けた取り組みが重要であることを喚起していく。
このたび裁判員制度がスタートしたが、裁判員に選任された社員の休暇の取り扱いをまだ決めていない企業が48%と半数を占めており、できるだけ早い対応が望まれる。規程の例は昨年度本事業において作成した「就業規則マニュアル」に掲載されているので、自社の都合に合わせて規定を整備するよう推進する。